実行委員長挨拶

 この度、メタルバイオサイエンス研究会2022を、2022年10月19日(水)と20日(木)の2日間、京都テルサにて開催させていただくこととなりました。ここ2年間、COVID-19の感染状況に応じまして、本研究会においてもオンライン開催、ハイブリッド開催と続きましたが、今回は、感染拡大の防止に万全を期して完全オンサイトでの研究会を開催いたします。
 本研究会は、1996年「メタロチオネイン研究会」として発足し、その発展とともに名称や形態を変化させ、2017年から現在の形である、日本毒性学会生体金属部会が主催する学術集会「メタルバイオサイエンス研究会」に至っています。生体金属は、蛋白質や金属含有酵素の機能発現に必須である一方で、その動態の破綻は様々な疾病の発症につながります。また、有害金属による環境汚染や人体に及ぼす毒性発現の機序解明も重要な命題です。本研究会は、これら多様な側面を持つ金属元素・半金属元素に関する広範な研究成果が発表される貴重な研究会であります。今回、特別講演といたしまして、大阪大学大学院医学研究科の長野清一先生から「神経変性疾患におけるバイオメタルの役割」、また、立命館大学生命科学部の三原先生から「バクテリアが駆動するカルコゲン元素循環の分子メカニズム」と題してご講演いただけることとなりました。最先端の金属研究のお話を、ご参加の皆様と共に伺えることを楽しみにしております。
 さて、メタルバイオサイエンス研究会におきましては、人材育成を通じた研究会の底上げが喫緊の課題となっております。この状況をふまえ、今回、4つのシンポジウム全てを中堅・若手研究者に企画していただきました。特に、若手研究者の皆様には、活発に議論し、金属研究の視野を広げていただきたく思っております。若手研究者の成長が、本研究会のみならず本分野の発展には不可欠であり、さらに刺激を受けた上の世代の研究者にも相乗効果をもたらすことと期待しております。
 本研究会が、対面での実際の交流を通し、全ての皆様にとりまして、金属研究の情報交換と研究者交流の場として有意義なものとなりますことを祈念いたしまして、挨拶にかえさせていただきます。

メタルバイオサイエンス研究会2022
実行委員長  神戸 大朋
(京都大学大学院生命科学研究科)